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デル・トロ監督インタビュー:新作のこと、そして『ホビット』のこと

2013年07月23日 02:07

熱帯夜の東京より、暑中お見舞い申し上げます (("Q(´▽`;) パタパタ

ウエリントンでの『ホビット』追加撮影も最後の1週間に突入し、現場ではドワーフ役のキャストたちが今も残って、オークとの戦いに励んでいます。
18日から始まったサンディエゴ・コミコンも昨日(現地時間21日)で終了。昨年は、新シリーズの宣伝のために大々的に行われた『ホビット』パネルでしたが、今年は不参加とあって、フィギュアなどのタイアップ商品を除いては、めぼしいニュースのないこの頃であります。

そんなわけで今回は、7月12日に大作『パシフィク・リム』が公開され、ベネディクト・カンバーバッチが出演するホラー映画『クリムゾン・ピーク』や、浦沢直樹原作の『MONSTER』のTVシリーズ化等で話題の時の人、“世界一忙しい映画監督”ギレルモ・デル・トロのインタビュー記事の紹介です。

公開以前から『ホビット』情報を追っている皆さまにはご承知の通り、デル・トロ監督は2010年5月にプロジェクトから離脱するまで、『ホビット』の監督として制作準備にあたっており、脚本家の1人でもありました。

Telegraphが行ったインタビューで彼は、カート・ヴォネガット原作の『スローターハウス5』の映画化(リメイク)を含む将来の計画について、また『ホビット』についても語っております。


■ギレルモ・デル・トロ「『スローターハウス5』はチャーリー・カウフマンと組みたいね」

恰幅の良い映画監督ギレルモ・デル・トロは、サンフランシスコホテルのスイートルームのテーブルで“繊維質食品”について話します。
メキシコ人である彼は、画期的なヒットとなった芸術気取りの『パンズ・ラビリンス』から最新の超大作『パシフィック・リム』まで、彼が何故ファンタジー映画に取り憑かれているかを説明する比喩としてそれを用います。彼が最近行った胃の手術の結果、体重をコントロールする必要があることを考えれば、それはとりわけ適切なようです。

「ぼくにとって、芸術はセックス、あるいは食べ物のようなものなんだ」と彼は笑顔を見せます。
ぼくは、『パシフィク・リム』はソウルフードのように、あるいは『パンズ・ラビリンス』はちょっとしたグルメ食のように作ることが出来ると思っているよ。この食べ物は皆にとって良いものだから、“繊維質食品”を与える必要はないんだ」

分厚いレンズと灰色の顎鬚の大げさな素振りの人間テディベア、デル・トロは上機嫌です。
彼が最後に映画を監督してから5年になります。彼はディレクターズ・チェアに戻って明らかに嬉しがっています。しかし、彼のファンはその成り行きに、まだそれ程満足していないかもしれません。
『パシフィク・リム』は1億9000万ドルのCGIによる派手なショー(extravaganza)です。その前にもデル・トロは“ソウルフード”である『ヘルボーイ』シリーズを作っています---滑稽なブルーカラーのデーモンが登場する同種のビジュアル・スペクタクルで、すぐに3作目が作られる予定です---この監督は、より小さなプレートで最も有名なのです。
最初はおよそ10年ほど前の『クロノス』『ミミック』、そして『デビルズ・バックボーン』のような癖の強いホラー、そして2006年の傑作『パンズ・ラビリンス』は、完全にデル・トロのイマジネーションから発した、驚くべき、殆ど完璧なまでのファンタジー映画で、3つのオスカーを獲得し、偉大な新しい映画監督の出現を宣言することになりました。

それでは、『パシフィク・リム』のような単純で派手な超大作は、窮屈ではありませんでしたか?

「ぼくがパーティーに行くとき、それはパーティーなんだ」と彼は陽気に言います。「そして、シンポジウムに行くときには、テキーラを持ってはいかないだろう? つまりぼくの家の、2つの完全に異なる部屋みたいなもので、両方ともとても快適なんだよ。パーティーに行かないでおいて、その価値について尋ねたりしないものさ!」

デル・トロの育った家は、メキシコのグアダラハラにありました。そして、誰に聞いてもパーティーからは程遠いものでした。「ぼくはカトリックとして育ち、ぼくの中で育成された不安は 途轍もないものだった」と彼は真剣に言いました。
彼の父親は自動車のセールスマンで、母親はアーティストでした。しかし、躾の大半は彼の祖母に任されました。
彼女のことをデル・トロは、「『キャリー』のパイパー・ローリー(*キャリーの狂信的な母親、マーガレット・ホワイト役)」と例えます。彼女は煉獄の脅しで苦しめるばかりではなく、お祓いと禁欲のために彼の靴に瓶の金属製の蓋を入れて歩かせたので、彼の足の裏は学校まで歩くことで出血しました(*1)

【注1】2008年8月にメルボルンのPopcorn Taxiで行われたQ&Aライブによれば、子供時代のギレルモが悪魔やモンスター等の奇妙な絵を描き続けるので、彼の祖母はお祓いと贖罪の為に、2度に渡って靴に瓶の蓋を入れ、登下校の道のりを歩かせたとのこと。


少年の頃、ギレルモは一連の陰惨な出来事に遭遇しました。
彼は鋭い鉄条網のフェンスによって首を切られた十代の少年を見ました。衝突事故を起こした運転手がフォルクスワーゲン・ビートルの中で燃え上がり、頭蓋骨が裂けた男が通りを歩くのを見ました。グアダラハラは、荒っぽい町だったのです。

しかし、若いデル・トロの記憶に本当に刻み込まれたのは、死体置場への訪問でした。窓の近く、明るく光の差し込む中で、彼は中絶された胎児の“山”を見たのです。
彼は顎鬚をこすり、陽気な笑顔が消えました。「怖かったのはその無頓着さだね。何かが頭の中で弾けて、ぼくは知ったんだ。オーケー、すべてを慈悲深く見渡している存在などないんだってね」

『パシフィク・リム』のキャッチフレーズは、“怪物と戦う為に怪物を作った”です。
彼は幼い頃から怪物を作り始めたので、これは若きデル・トロに至る歪んだ心理学上の過程に当てはまるかもしれません。
最初は、持ち歩いた本の中から怪物たちをスケッチしました。これは今日まで彼が行っていることです。次は両親を怖がらせるために、傷跡や溶けた目を塗り付けるメイクの実験を始めました。その後、映画学校を卒業してから、メキシコの映画産業のために怪物を作成した特殊効果の会社を設立しました。そして、すぐに彼自身の監督の資質を顕すようになったのです。

デル・トロは2000年代初めに、ハリウッドに進出した3人のメキシコ人監督のうちの一人でした---他の2人は、アルフォンソ・キュアロン(『トゥモロー・ワールド』、『天国の口、終りの楽園。』)、レハンドロ・イニャリトゥ(『バベル』、『21グラム』)です---そして、デル・トロは、それ程危険でないのならば、快く故郷へ戻るだろうと言います。
彼の父親フェデリコが72日の間誘拐されたのは1997年、彼の人生で最も劇的な期間の一つでした。デル・トロと彼の2人の兄弟は2回の身代金を払うことで、父親をアメリカの安全な場所へ連れてくることが出来ました。彼はそれを「治癒体験」と表現します。
「一度は自分の父親の命を救ってみるよう、強く勧めるよ」と彼は言います。「その体験はきみを変えるだろう。それがぼくの知っている全てだよ。父親が人間であることを学ぶんだ。ただの脆い人間だとね」
今のところデル・トロは、サンフェルナンド・バレー(米カリフォルニア州)で妻と2人の娘と共に暮らしています。そして、彼が神話とファンタジーに対する愛情の偉大なモニュメントである「荒涼館」と名付けられた彼の珍奇な家を作ったのもここです。
「子供の頃、フォントヒル僧院について読んだんだ」と彼は言います。「作家のウィリアム・ベックフォードは、そこに世界中の珍しいものでいっぱいのキャビネットをもっていたんだ。そして、いつかぼくだけのいっぷう変わった場所を作ることを夢見ていたんだよ」

コレクションは彼の家の4つの部屋から始まりましたが、家族の住居からおよそ3分の家全体に及ぶようになりました。最近では、本、絵画、ゴム製の怪物、骨や頭蓋骨、そして本物の“奇妙な鳥”(*strange birdには「風変わりな人」の意味がある)や“奇形の子供”の標本のコレクションは、再び2つの隣り合った家に拡張しました(彼は家を売ってくれるよう隣人を説得しました)これはホラーファンの楽園であり、『パシフィク・リム』のロボットたちがデザインされ、ゴーストストーリーが形を成す彼の働く場所なのです。

「ばくが最後に聞いた幽霊(の声)は、ニュージーランドで『ホビット』にスカウトされたときだね」と彼は言います。プロデューサーだったピーター・ジャクソンとの「創造的な相違」によってプロジェクトから離れることを余儀なくさせるまで、デル・トロは2年間映画に取り組みました(*2)

【注2】telegraphの記者はこう書いていますが、デル・トロ監督の『ホビット』離脱の最大の原因は、スケジュール上の問題と言われています。スタジオの経営難等で撮影のGOサインが出るのが当初の予定よりも2年以上遅れ、『ホビット』契約前からユニバーサルを始め他社と結んでいた作品の制作準備に間に合わなくなった為苦渋の決断だったと、デル・トロ側もジャクソン側も語っています(Source)。


「旅行のときはね、幽霊が出るホテルのリストを少しばかり持っているから、可能な限りいつでもそこに泊まるんだよ。 このホテルでは、この女性(this woman)がバスルームの排気口を通して叫んでいるのを聞いたよ。そして、男は自責の念にかられてすすり泣くんだ」

しかし彼は何年か前に信仰を失っていたのではありませんか?彼は懐疑論者ではないのでしょうか?彼は微笑みます。
「そうだとも。今から75年もすれば、完全にもっともな説明が出来るようになったいると思うよ。だけど、ぼくたちはより良いアナロジーが不足している為に中世にいるみたいなものさ。ただ知らないだけなんだ。中世の人々は自分たちが完全に現代的であると思っていた。今のぼくたちと同じだよ。実際、ぼくときみが今日やっていることは全部、ぼくの最新のタペストリーについての対談じゃないか」と、彼はクスクス笑います。
「『パシフィク・リム』はちょうど、ロボットと怪獣のアジャンクールの戦いさ!」

彼は更に沢山のタペストリーに関わっています。デル・トロは作家、プロデューサー、そして監督として多作なので、一般的に一度に7〜8つの巨大プロジェクトに取り組みます。
『ホビット』の失望のあと、彼は何かを起動に乗せるために大変ハングリーになっていたので、現在、ありとあらゆるものに没頭しています。

そのうちの2つは確認されています。『ザ・ストレイン』と呼ばれているテレビの為の吸血鬼シリーズでは、彼は原作も書いています。そして、ジェシカ・チャステインとベネディクト・カンバーバッチが出演するホラー映画『クリムゾン・ピーク』は、2014年に監督することになっています。

しかし、「可能性」リストのほうは、更に期待をかき立てます。彼はH.Pラヴクラフトの、南極のエイリアンについての古典ホラー『狂気山脈』のために資金提供者を探しています。
「ぼくは芸術を見せる、そしてきみたちの心を乱すんだ」と彼は言います。彼は『ピノキオ』の新しいバージョンの資金も集めています。そして彼は、『フランケンシュタイン』の新しいバージョンで、再びカンバーバッチを起用することを望んでいます。

そして、シナリオ作家チャーリー・カウフマンとのコラボレーションが話題になっている(Source:The Playlist)カート・ヴォネガット原作の『スローターハウス5』があります。
「チャーリーとは1時間半ほど話をしたよ。そして作品を成す為の完璧な方法を考えついたんだ。トラルファマドール星人(『スローターハウス5』に登場するエイリアン)の、全てが同時に起こっていて、“時間の中に解き放たれる(unstuck in time)”という考え方が大好きだ。そして、それがぼくのやりたいことでもあるんだ。この不条理こそがね。それが次の映画となればスタジオはそれを作るだろうが、脚本なしで、ぼくの次の映画にどう打ち込んだらいいのだろう。チャーリー・カウフマンはとても高価な作家だし」と彼は肩をすくめます。「でも、きっとうまくいくよ」

しかしながら、『ホビット』の一つの教訓は、計画は時に失敗に終わるということであり、デル・トロが持っているその全ての活力と熱意は無に帰すこともあるということです。映画が公開された今、彼の『ホビット』についての感情は変化したのでしょうか?

「ぼくは『ホビット』を観ていないんだ!」と彼は言います。
「ブルーレイで観たくはなかったからね。去年は3~4回しか劇場に行けないくらい忙しかったんだよ。そして、映画の決定権は娘たちにあるから、ぼくだったら観なかった筈の『レ・ミゼラブル』に行くことになったんだ。
いや、勿論ピーターはメールをくれて、ぼくが都合のいい時間に上映してくれることを申し出てくれたんだよ。だからぼくは、時間があるときに彼の申し込みを受けて、きちんと映画を観るつもりなんだ」

胸は痛みませんか?

彼はちょっと考えます。「どうだろうね。だけど、ぼくは人生という道で、とても小さなバックミラーに恵まれてきたんだよ。それがなかったら、父の誘拐を乗り切ることが出来なかったろうし、70年代、80年代のメキシコで、ジャンルムービーを作ることは不可能だったと思うね。ぼくは人生を地質学的視点で見通すことが出来るんだ。ぼくたちはほんの小さなことに全力を注ぐけど、今から百万年のもすれば花崗岩の二層の間の石灰層だよ。そこではきみのスーパーマーケットのチェックリストと、シェイクスピアの全正典は同じ重要性をもつだろうよ」

彼はにっこり微笑みます。「だから、今の人生を楽しんで、成行きに任せるんだ。結果については考えない。ただ、何かを成すことが重要なんだ」
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