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『ホビット』今月の動き〜 2013年7月〜

2013年07月31日 23:59

7月31日(水) *『ホビット 思いがけない冒険』エクステンデッド・エディション情報公式発表。
 米ワーナー・ブラザーズ・ホーム・エンターテインメントは、『思いがけない冒険』のエクステンデッド・エディションの詳細についてプレスリリースを発行しました。
アメリカでの発売日は7月5日、ダウンロード販売は10月22日とのこと。拡張シーンは13分と短めですが、9時間に及ぶ映像特典が含まれています。
日本版の発売についても同日、ワーナー エンターテイメント ジャパンから発表がありました。2Dブルーレイ、DVDそれぞれ5枚組セットが7,980円、11月13日販売となります。 【HDRF】 【Blu-ray.com】


*Wetaスタチュー付き限定版については、公式発表は未だされておりませんが、米amazon等で取り扱い予定になっています。
7月30日(火)
*ビヨルンの画像がネット流出。
 スペインの玩具(映画のタイアップグッズ)メーカー、SD Toysが、『ホビット スマウグの荒らし場』2014年カレンダーの画像をfacebookにて紹介。その裏表紙の画像には、逞しい上半身を剥き出しにした、人の姿をとっているときのビヨルンが含まれており、これが最初のビヨルン(人型)写真の流出となりました。
他にも同カレンダーには、いずれも小さいながらも、ビルボやトーリンの初お目見え画像が複数含まれています。 【facebook(SD Toys)】
7月29日(月) *ニュージーランド政府、『ホビット』制作会社に6700万NZドルを払い戻し。
 『ホビット』の制作会社である3 Foot 7は、ニュージーランド政府より6700万NZドルの現金の払い戻しを受けました。これは、ニュージーランドの映画制作及び資金調達を行うニュージーランド映画振興委員会(New Zealand Film Commission:NZFC)が主体になって行う資金援助により、大型予算映画制作助成金(LBSP)が適用されたもので、映画制作のためにニュージーランド国内で支出した費用(Qualifying New Zealand Production Expenditure[QNZPE])が1500万NZドル以上であること等が条件になります。3 Foot 7は『ホビット』3部作のために現時点でおよそ4億4700万ドルを使用しており、その15%にあたる6700万NZドルが払い戻しとなりました。
なお、経済開発省の事務局は、『ホビット』3部作が1000万ドル近い補助金を申し込んだことを7月29日に確認しています。QNZPEが2億ドル以上の映画については、最高975万ドルの追加 補助金を得る資格があるとのことです。 【Radio NZ News】
7月26日(金) *『ホビット』追加撮影終了。
 ピーター・ジャクソン監督はfacebookにて、ベッドから起き上がった時から深夜の帰宅まで、撮影最終日の出来事をfacebookに投稿。ファンと最終日の感動を共有しました。
「…終わったよ!ぼくがこれを書いている間に、更にテイクを撮り進めて、終了だ!リチャードは素晴らしかった。サブユニットも殆ど同時に終わったよ。笑顔と喜びと…そして悲しみ。あぁくそっ!すごく悲しいじゃないか」 【facebook(Peter Jackson)】
7月25日(木) *追加撮影、「明日(26日)が最終日」と『ホビット』キャスト・クルーが報告。
 23日にドワーリン役のグレアム・マクタビッシュが「あと3日」とツイートしたのを裏付けるように、ボンブール役のスティーヴン・ハンターはTwiterにて「そろそろ中つ国にさよならを言う時間だ!」と報告しています。またオーリ役のアダム・ブラウンも「明日は、世界で最高の仕事における最終日!」とツイートしました。 昨日(24日)には、ノーリ役のジェド・ブロフィーがfacebookにて、「ゴールが見えてきた。そこには涙があるだろう。この経験がどんなだったかを説明するのは難しいね。だけど身体は覚えていて、ぼくはその歳月を感じている。無数のオークたちは激怒しただろう。中つ国での最後の日、ぼくはとても幸福だ」と報告しています。
そしてピーター・ジャクソン監督も、新しいREDカメラ(その名も“DRAGON”)を試用した件をfacebookで報告した際に、「あと2日となった『ホビット』の撮影には使用しないが…」と書いており、追加撮影の最終日が26日であることを明らかにしています。 【Twitter(Stephen Hunter)】 【Twitter(Adam Brown )】
7月23日(火) *グレアム・マクタビッシュ、追加撮影終了まであと3日とツイート。
 5月21日から(一部スタッフとキャストはそれ以前から)始まった『ホビット』の追加撮影も最終の第10週目を迎えました。
ドワーリン役のグレアム・マクタビッシュは、残りの撮影期間はあと3日で、既に撮影を終えたドワーフ役の俳優もいることをTwitterにて報告しました。
「ゴールが見えてきた。あと3日だ。ドワーフの兄弟たちの何人かに別れを告げた。彼らとこれを共有出来たことを誇りに思うよ」 【Twitter(Graham McTavish )】
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PJの長い一日〜『ホビット』撮影最終日のレポートから(後編)

2013年07月30日 23:50

■7月26日 2:00pm -------------------------------------------

大リチャード、中リチャード、そして小リチャード。

午後2時。Fステージで最初のショットが完了して、ちょうど昼休みとなった。気が重くなる数字だ。セットアップ(*カメラや照明の位置交換)はおそらくあと7回か8回あるだろう。サブユニットはKステージへ移動して、昼食後に撮影開始だ。

彼らが昼食に出発した直前に、ぼくはそれぞれ異なるトーリンにポーズをとってくれるように頼んだ。1人はリチャード・アーミティッジで、他の2人はそうじゃない。推理してみてくれ…真ん中の1人はちょっとサイコだね。

将来、皆同じ背丈で映画を作ることを心待ちにしているよ。

今もプレッシャーは続いている。猛烈な早さで進まなくちゃいけない!

■7月26日 4:30pm -------------------------------------------

クリスチャン・リヴァーズ。

現在アンディ・サーキスは“猿”であることに忙しい(*5)ので、アクション・ユニット監督の責務は、クリスチャンが肩代わりすることになった。

1986年にぼくの最初の映画『バッド・テイスト』を仕上げたあと、初めてのファンレターを貰ったんだ。13才の男子生徒で、ドラゴンと魔法使いの絵を送ってくれたんだよ。本当にそれがぼくの最初のファンレターだったから、すぐに返事を書いたものさ。

『ブレインデッド』を作る頃には、この男子生徒は2年歳をとっていて、ぼくのストーリーボード・アーティストとして仲間に加わった。彼はぼくがその後制作した実質全てのストーリーボードを担当し続けて、『キング・コング』ではアニメーション監督となってオスカーを獲得したんだ。彼は現在サブ・ユニットを監督していて、彼自身のプロジェクトを制作しているんだ。

言うまでもなく、これがクリスチャンだ。ファンレターの成果が上がることを証明しよう!次から次へひっきりなしに…と言いたいが、それはしないよ。

クリスチャンは今、ドワーリンとKステージのリアルセットで戦闘シーンの撮影を続けている。彼はぼくたち(メインユニット)と殆ど同じ数のショットを撮って、今日で終わるようにしてくれた。

ぼくたちは第3部のための、トーリンのエキサイティングでショッキングな決闘シーンの撮影について競っている。全ての撮影をトーリンの物語で完了とするんだ。最終カットに相応しいと思うね。
これは明らかに、映画自体の本当に最後の場面じゃない。その場面については、実はおよそ2年前に既に撮影済みなんだ。だけど、夜遅くの作業に活力を与える素晴らしくエモーショナルな材料じゃないか。それはぼくたちの気分を最後まで張り詰めさせておくだろう。

午後4時半、今日はまだこれからだ。

【注5】ゴラム役で、『ホビット』のセカンド・ユニットの監督でもあるアンディ・サーキスは現在、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の続編である『Dawn of the Planet of the Apes』の撮影真最中で、『ホビット』の追加撮影には参加しませんでした。先日開催されたサンディエゴ・コミコンにて、『Dawn of the…』の初スチルがお目見えしていましたね。

■7月26日 7:30pm -------------------------------------------

さようなら、ドワーリン!
非常に素晴らしいグレアム・マクタビッシュは、彼の最後のショットを名誉をもって競ってくれた。

メインユニットとサブユニットは接戦だよ。どちらも残すところ4ショット。あと3時間位かかりそうだ。最初に終わってビールを全部飲むのはどちらのユニットかな?

午後7時30分…ボクシングは進行中だ…。
 

■7月26日 8:15pm -------------------------------------------

  セクシーな映画監督と、まだそれ程セクシーじゃないドワーフ2人。

エイダン(・ターナー)とディーン(・オゴーマン)は、今日最初の出番を獲得した。彼らはランチタイムからずっと根気よく待っていたんだ。サブユニットはあと3ショットだ。

午後8時15分、ラストまで3ショットのメインユニットと並んだよ。

■7月26日 9:00pm(*6) -------------------------------------------

テント。

あと2ショット…多分もう1時間はかかるだろう。
これはもはや家だね。テントはぼくがこの2年半で、他のどこよりも沢山の時間を過ごしてきた場所だから。
ぼくはここを、スクリプターのヴィクトリア(・サリヴァン)と編集のジャベス(・オルセン)、ぼくのアシスタントのセブ(セバスチャン・ミーク)、それにプロデューサーのキャロ(キャロリン・カニンガム)と共有しているんだ。

ヴィクトリアはぼくたちが撮ったもの全てを厳重に見張って、大量のノートをとっている。だから、撮影したどんなカットも、ぼくのコメントも、この先何年経っても簡単にアクセスすることが出来るんだ。更に、彼女は愚かな間違いをうっかり見落とすことがないんだよ。

撮影している期間中にも、ジャベスとぼくは前に撮ったシーンを編集しようと努めている。日中考えなくてはならないことがとても沢山あるとき、それはとても難しいと気付く。それでもぼくたちはそれを試みて、お気に入りのテイクを選んでおくから、編集室で有利なスタートを切ることが出来るんだ。

ぼくが手を差し出せばいつでも、カップ一杯のホットティーをそっと手渡す技能にセブは熟練した。見事に調整された第六感だ。セットで、会議で、山腹で、それに朝3時の寝室だって、いつもお茶が出てくるんだ。

キャロは、全てが時間通りに動くように努め、全ての事態に関して、ぼくが真っ先に頼りにする人間なんだ。とても大きな支えだよ。彼女とは『乙女の祈り』から一緒に働いている。キャロとヴィクトリアはオーストラリア人だ。それはともかく、彼らは殆ど完璧だね。

ぼくの大きな椅子には逸話がある。ぼくはいつも、木とキャンバス生地で出来た小さな“ディレクターズ・チェア”に座っていたんだ。
2000年12月、『ロード・オブ・ザ・リング』撮影中の、まさに最後の週になってハリー・ノールズが訪ねてきたんだ。小さな椅子におさまるには、彼はちょっとばかり規格外だったので、クルーの一人がハリーのために古道具屋で安っぽい古ぼけたアームチェアを買ってきたんだ。

彼が帰って、撮影も終わった後にその椅子を試してみたらとても快適だった。次の作品のとき、キャロはそれを修復して、ぼくにプレゼントしてくれたんだ。それ以来ずっとこの椅子を使っているんだよ。酷い服と絶え間なく出される緑茶の他に、これも幸運のお守りみたいなものだね。

優れたユニットチームのおかげで、テントはいつも設置されていて、毎朝ぼくを待っている。その内側はいつも同じように見えるけれど、ドアからの眺めは日々変わっていくんだ。ぼくは驚くべきセット…川岸、照りつける太陽、土砂降りの雨、山、暗いトンネル、そしてホビット村を眺めたよ。ヴィクトリアとぼくは撮影が開始されたときから、ドアからの眺めの写真を撮るべきだといつも言っていたんだ。それは2日として同じことはなかった…ちょっと混乱したね。次回は多分実行するよ。

今、本当に疲れてきているよ。

【注6】この投稿だけ時間の記載がないので、投稿時間からおよその時刻を割り出しています。


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PJの長い一日〜『ホビット』撮影最終日のレポートから(前編)

2013年07月28日 10:49

7月26日、5月下旬から始まった『ホビット』の10週間に及んだ追加撮影は無事終了の運びとなりました。
この慌ただしい最終日を、ピーター・ジャクソン監督は、早朝目覚めてまだ床にあるうちから、スタジオでの打ち上げを終えて深夜に帰宅するまで、facebookを通じてリアルタイムでレポートしてくれました。

残された時間で、映画に必要な全てを撮り終えることが出来るかどうか、プレッシャーで眠れなかった夜の話から、最終ショットを終えた感動の叫びまで、まるでその場にいるように、監督やクルー、そしてキャストたちの思いを共有出来る時代がくるとは、LotR3部作の頃には思いもしませんでしたね。

若干長いですが、この日ジャクソン監督が発信したレポートを順番にまとめてみました。リアルタイムで読むことが適わなかった皆さまも、最終日の様子を追体験して頂けたら幸いです(意訳・誤訳はご寛恕の程)。


■7月26日 6:30am -------------------------------------------

撮影の最終日。

ブログを始めて以来、一日を通して紹介するような試みを何かやってみたいと思っていたんだ(勿論、残り19の質問に答える義務があるのは忘れていないよ!(*1))ぼくたちが通常どんなふうに行動しているかを全て感じてもらうための、撮影日をリアルタイムで紹介するブログだ。

撮影の最終日であることを想定すれば、今日は必ずしも“通常の”日ではないのだけれど、今日やらなければ、もう決してやる機会はないだろうからね!

それじゃあ、始めようか。日中は出来るだけ沢山更新するつもりだよ。少なくとも写真は即行でね。文章はどのくらい忙しくなるかによるけれど。

現在、ここウエリントンは朝の6時30分。ぼくはベッドにいて、起きようとしているところだ!どうしたら必要な全てのショットを撮り終えられるだろうかと、撮影についてすごくストレスを感じていたので、あまり眠れなかったんだ。心の中でリハーサルし続けていたんだよ。

今日は第3部の場面を撮影する。君たちが2014年12月に目にする筈のものだが、正直に見せようと思っているよ。だけど、ネタばれはなしだ。

ぼくは撮影テントの暗闇の中に横たわって、何度も何度も戦いのリハーサルを見た。
スタンド・コーディネーターのグレン ・ボスウェルは、この週末に俳優たちと働いたんだ。そして、エキサイティングでショッキングな瞬間のアクションをいくつかデザインしたんだよ。彼がそのとき撮影したのを、iPadの“ウィングナットTV”と呼んでいるアプリケーションの中に入れてもっているんだ。
それは膨大な素材を使用したカタログをインターネットで使用し、毎日の更新を可能にするプログラムだ。そこには編集前の下見用フィルム、編集されたフィルム、プレビズ(*実際に映画を制作する前に、予想される結果をCG等を使って視覚化された映像)、音楽の全てと、更にもっと沢山のものが含まれている。ぼくは戦いの映像を見て、今日撮影するアングルを考えるんだ。やらなくてはならないことが山のようにある。

撮影は午前8時30分に始まって、午後7時30分に終了する予定だけれど、きっと遅くまでかかると思うね。長い一日を働くときはいつも、クルーの気持ちを和らげようと、「ジム(ジェームズ)・キャメロンが『アバター2』と『アバター3』を撮るときのために」って冗談を言うんだが…う〜ん、それは本当にジョークにならないね。

とにかく今日は、ちょくちょく更新していこうと思う。

【注1】PJは『ホビット』に関する20の質問に答えるとして、2011年5月3にfacebookを通してファンの質問を公募しましたが、最初の第1問を同年5月30日に回答したきり更新を中断しています。ご多忙だったのでしょう…。

■7月26日 7:00am -------------------------------------------

  ウエリントンの夜明け---寝室からの眺め。ちょうど午前7時をまわったところ。
着ているものを放り投げて、仕事に行くことを考える。
ぼくには、撮影するときには毎日殆ど同じような服を着るという奇妙な迷信めいた習慣がある。
去年コミコンに行った際に2着のシャツを買った。白いのを1着と、青いのを1着。

今日は白の日の気分。

■7月26日 8:20am -------------------------------------------

午前8時20分。家を出る。
ミスター・スマッジは、ぼくに行ってらっしゃいを言うために階段で待っている。彼は毎日そうする。
そして夜はぼくを出迎えようと、いつもドアの側で待っている。
 

■7月26日 8:20am
(*2) -------------------------------------------

スタジオに到着。

午前8時20分。一日の中で、この時間は好きじゃない。車でスタジオまでいくとき、いつもは緊張しているんだが、今日はまるで威圧されるような感じがするね。
100人の人間が、最初のショットは何か、ぼくがどんなレンズを使いたがっているか、それから、このシーンが終わるまでにどれだけカメラ位置の変更(set-ups)が必要になるかを知ろうと、ぼくを見ようとするんだ。
計画がある時もあれば、時には即興でやることもある。それは俳優とのリハーサルを助けて、アイデアが(うまくいけば良いものが)動き始める。

場が和やかになって撮影が始まれば、それはいつでも、より良いものとなるんだ。

良い知らせがあるとしたら、スタジオが家から5分で、信号もラッシュアワーもないってことだね。


【注2】家を出る前も午前8時20分となっていますが、PJが投稿した記事のままにしています。

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デル・トロ監督インタビュー:新作のこと、そして『ホビット』のこと

2013年07月23日 02:07

熱帯夜の東京より、暑中お見舞い申し上げます (("Q(´▽`;) パタパタ

ウエリントンでの『ホビット』追加撮影も最後の1週間に突入し、現場ではドワーフ役のキャストたちが今も残って、オークとの戦いに励んでいます。
18日から始まったサンディエゴ・コミコンも昨日(現地時間21日)で終了。昨年は、新シリーズの宣伝のために大々的に行われた『ホビット』パネルでしたが、今年は不参加とあって、フィギュアなどのタイアップ商品を除いては、めぼしいニュースのないこの頃であります。

そんなわけで今回は、7月12日に大作『パシフィク・リム』が公開され、ベネディクト・カンバーバッチが出演するホラー映画『クリムゾン・ピーク』や、浦沢直樹原作の『MONSTER』のTVシリーズ化等で話題の時の人、“世界一忙しい映画監督”ギレルモ・デル・トロのインタビュー記事の紹介です。

公開以前から『ホビット』情報を追っている皆さまにはご承知の通り、デル・トロ監督は2010年5月にプロジェクトから離脱するまで、『ホビット』の監督として制作準備にあたっており、脚本家の1人でもありました。

Telegraphが行ったインタビューで彼は、カート・ヴォネガット原作の『スローターハウス5』の映画化(リメイク)を含む将来の計画について、また『ホビット』についても語っております。


■ギレルモ・デル・トロ「『スローターハウス5』はチャーリー・カウフマンと組みたいね」

恰幅の良い映画監督ギレルモ・デル・トロは、サンフランシスコホテルのスイートルームのテーブルで“繊維質食品”について話します。
メキシコ人である彼は、画期的なヒットとなった芸術気取りの『パンズ・ラビリンス』から最新の超大作『パシフィック・リム』まで、彼が何故ファンタジー映画に取り憑かれているかを説明する比喩としてそれを用います。彼が最近行った胃の手術の結果、体重をコントロールする必要があることを考えれば、それはとりわけ適切なようです。

「ぼくにとって、芸術はセックス、あるいは食べ物のようなものなんだ」と彼は笑顔を見せます。
ぼくは、『パシフィク・リム』はソウルフードのように、あるいは『パンズ・ラビリンス』はちょっとしたグルメ食のように作ることが出来ると思っているよ。この食べ物は皆にとって良いものだから、“繊維質食品”を与える必要はないんだ」

分厚いレンズと灰色の顎鬚の大げさな素振りの人間テディベア、デル・トロは上機嫌です。
彼が最後に映画を監督してから5年になります。彼はディレクターズ・チェアに戻って明らかに嬉しがっています。しかし、彼のファンはその成り行きに、まだそれ程満足していないかもしれません。
『パシフィク・リム』は1億9000万ドルのCGIによる派手なショー(extravaganza)です。その前にもデル・トロは“ソウルフード”である『ヘルボーイ』シリーズを作っています---滑稽なブルーカラーのデーモンが登場する同種のビジュアル・スペクタクルで、すぐに3作目が作られる予定です---この監督は、より小さなプレートで最も有名なのです。
最初はおよそ10年ほど前の『クロノス』『ミミック』、そして『デビルズ・バックボーン』のような癖の強いホラー、そして2006年の傑作『パンズ・ラビリンス』は、完全にデル・トロのイマジネーションから発した、驚くべき、殆ど完璧なまでのファンタジー映画で、3つのオスカーを獲得し、偉大な新しい映画監督の出現を宣言することになりました。

それでは、『パシフィク・リム』のような単純で派手な超大作は、窮屈ではありませんでしたか?

「ぼくがパーティーに行くとき、それはパーティーなんだ」と彼は陽気に言います。「そして、シンポジウムに行くときには、テキーラを持ってはいかないだろう? つまりぼくの家の、2つの完全に異なる部屋みたいなもので、両方ともとても快適なんだよ。パーティーに行かないでおいて、その価値について尋ねたりしないものさ!」

デル・トロの育った家は、メキシコのグアダラハラにありました。そして、誰に聞いてもパーティーからは程遠いものでした。「ぼくはカトリックとして育ち、ぼくの中で育成された不安は 途轍もないものだった」と彼は真剣に言いました。
彼の父親は自動車のセールスマンで、母親はアーティストでした。しかし、躾の大半は彼の祖母に任されました。
彼女のことをデル・トロは、「『キャリー』のパイパー・ローリー(*キャリーの狂信的な母親、マーガレット・ホワイト役)」と例えます。彼女は煉獄の脅しで苦しめるばかりではなく、お祓いと禁欲のために彼の靴に瓶の金属製の蓋を入れて歩かせたので、彼の足の裏は学校まで歩くことで出血しました(*1)

【注1】2008年8月にメルボルンのPopcorn Taxiで行われたQ&Aライブによれば、子供時代のギレルモが悪魔やモンスター等の奇妙な絵を描き続けるので、彼の祖母はお祓いと贖罪の為に、2度に渡って靴に瓶の蓋を入れ、登下校の道のりを歩かせたとのこと。


少年の頃、ギレルモは一連の陰惨な出来事に遭遇しました。
彼は鋭い鉄条網のフェンスによって首を切られた十代の少年を見ました。衝突事故を起こした運転手がフォルクスワーゲン・ビートルの中で燃え上がり、頭蓋骨が裂けた男が通りを歩くのを見ました。グアダラハラは、荒っぽい町だったのです。

しかし、若いデル・トロの記憶に本当に刻み込まれたのは、死体置場への訪問でした。窓の近く、明るく光の差し込む中で、彼は中絶された胎児の“山”を見たのです。
彼は顎鬚をこすり、陽気な笑顔が消えました。「怖かったのはその無頓着さだね。何かが頭の中で弾けて、ぼくは知ったんだ。オーケー、すべてを慈悲深く見渡している存在などないんだってね」

『パシフィク・リム』のキャッチフレーズは、“怪物と戦う為に怪物を作った”です。
彼は幼い頃から怪物を作り始めたので、これは若きデル・トロに至る歪んだ心理学上の過程に当てはまるかもしれません。
最初は、持ち歩いた本の中から怪物たちをスケッチしました。これは今日まで彼が行っていることです。次は両親を怖がらせるために、傷跡や溶けた目を塗り付けるメイクの実験を始めました。その後、映画学校を卒業してから、メキシコの映画産業のために怪物を作成した特殊効果の会社を設立しました。そして、すぐに彼自身の監督の資質を顕すようになったのです。

デル・トロは2000年代初めに、ハリウッドに進出した3人のメキシコ人監督のうちの一人でした---他の2人は、アルフォンソ・キュアロン(『トゥモロー・ワールド』、『天国の口、終りの楽園。』)、レハンドロ・イニャリトゥ(『バベル』、『21グラム』)です---そして、デル・トロは、それ程危険でないのならば、快く故郷へ戻るだろうと言います。
彼の父親フェデリコが72日の間誘拐されたのは1997年、彼の人生で最も劇的な期間の一つでした。デル・トロと彼の2人の兄弟は2回の身代金を払うことで、父親をアメリカの安全な場所へ連れてくることが出来ました。彼はそれを「治癒体験」と表現します。
「一度は自分の父親の命を救ってみるよう、強く勧めるよ」と彼は言います。「その体験はきみを変えるだろう。それがぼくの知っている全てだよ。父親が人間であることを学ぶんだ。ただの脆い人間だとね」
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EMPIRE発『ホビット スマウグの荒らし場』で起こること

2013年07月07日 06:44

6月27日に発売されたイギリスの映画雑誌EMPIRE 8月号が、輸入雑誌を扱う日本の書店にも並ぶようになりました。
そこで今回は、『ホビット スマウグの荒らし場』の特集記事で分かった、『ホビット』第2部で起こるあんなことやこんなこと…を纏めてみました。
そんな内容ですから、遠慮なくネタばれを展開しております。映画本編のストーリーを知りたくない方は、くれぐれもご注意下さいませ。

  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   

  1. 第1部と比べ、ストーリーラインは複雑に絡み合い、悪役はますます力を増し、シリアスな展開となる。

    「物語の構造は多層になるわ。進行中のビルボとドワーフの労苦と、追補篇からの出典によるガンダルフのドル・グルドゥア探索の間でインターカッティング(*シーンの切り返し)されることになるの。2つの要素は映画の終わりまで絡み合って、派生したレゴラスや湖の町の統領、それにバルドなどの登場人物たちとバックストーリーを練り上げるの。続編(である第2部)では、子供染みたものは放棄されるわ」〈by.フィリッパ・ボウエン〉

  2. 闇の森のキノコの胞子には、トリップさせる作用がある。

    既に公開されている闇の森のスチルには、ボンブールが急拵えの担架のようなものに乗せられている場面がありました。原作のように「魔の川」へ落ちたせいではなく(ボンブールの飽くなき食への探究心の結果)、胞子を吸い込み過ぎたのかもしれません。あるいはこのキノコの作用が、ドワーフ一行がクモに捉われる原因となるのかもしれませんね。


    ↑ ボンブールを担いで闇の森を彷徨うドワーフたちとビルボ

  3. アゾグはドワーフへの復讐を諦めず、彼同様荒々しい息子ボルグもその追跡に加わる。


    ↑ アゾグの息子ボルグ(コナン・スティーヴンス)

  4. エルフ王の岩屋を樽で脱出したビルボとドワーフたちは、執拗に彼らを追うオークたちの追跡をうける。そして、オークたちを追う闇の森のエルフたちも絡んで、三者が「湖の町」へと乱入することになる。

  5. エスガロス(湖の町)は、原作と違って暗く猥雑で、不吉な迷路のような町となっている。

    トールキンの有名な脚柱の上に乗った町のイラストに反して、窮屈な通りは喫水線と水平で、乱雑なディケンズ風ベニスの様相を呈しています。見かけ倒しの歩道、橋々、そして重い屋根の下で傾いだ建物からなる迷宮です。それは霧深く、良からぬものが影に紛れてこそこそと動く場所です。わたしたちは未だかつて、中つ国でこのような場所を目にしたことがありません。


    ↑ J.R.R トールキンのイラストによる湖の町(彩色:H.E.Riddett)


    ↑ 映画『ホビット スマウグの荒らし場』の湖の町

  6. レゴラスは、LotRでムマキルをしとめたような、アクロバティックなアクションを再び披露する。

    彼(レゴラス役のスタントマン)は揺れ動く小舟に到着するために、180°回転して、手摺を飛び越えます。そして、小舟を占領しているオークは直ちに殺されます。1枚の氷を踏み石にして運河の向こう側へ跳び、裏通りを駆けて、別のオークの上を宙返りします。(中略)「エルフはいつもショーを独り占めさ」彼(オーランド・ブルーム)は気取って笑います。「最高のやり方でね」
[EMPIRE発『ホビット スマウグの荒らし場』で起こること]の続きを読む

『ホビット』プロダクションダイアリー 第11弾公開!

2013年07月03日 17:27

追加撮影が始まって7週目に入った7月2日、ピーター・ジャクソン監督は、『ホビット』プロダクションダイアリー第11弾をfacebookにて公開しました。

今回のビデオブログは、追加撮影が始まったばかりの5月末頃の1~2週間の出来事をまとめた構成になっていますが、冒頭に公開直前に撮影したピーター・ジャクソン監督のメッセージが足されています。
7月18日からサンディエゴで開催される恒例のコミコン・インターナショナルについての報告になりますが、まずはムービーと(毎度拙い意訳ですが)邦訳をご覧下さい。





00'00" カメラに向かって話すピーター・ジャクソン監督

ピーター・ジャクソン(以下PJ)「やあ、新しいブログへようこそ!だけどその前に、今年コミコンへ行くつもりの全てのファンにとって、残念に違いないニュースを伝えたいと思う…ぼくは2〜3日前に、今年のコミコンには『ホビット スマウグの荒らし場』について披露する準備が、本当に何も出来ていないとワーナーに伝えたんだ。

その理由は…そうだね、実際沢山あるよ。ぼくたちはまだ撮影中で、コミコン期間中もずっと撮っているつもりなんだ。だから、クールなパネル・ディスカッションのために送り出す俳優を、誰も検討することが出来なかったんだ。求めに応じられる人間は本当に誰もいなかったんだよ。ぼくは行くことが出来ないし、そうなるとつまり、いくつかのメッセージを録音して、本当にクールなシズルリール(*本編のカットやメイキング映像などから、所謂“いいとこどり”を集めたムービーのこと)を用意出来る見込みがあるかどうかってことになったんだ。

だけど知っての通り、問題はぼくが撮影でとても忙しくて、追加撮影を終えるために週6日間働いていて、コミコン用の本当に優れたリールのために費やされるあらゆる時間は、同じくらいクールになる筈の第2、第3の『ホビット』映画を成すための重大な仕事から離れて費やされる時間であるってことなんだ。つまり、この追撮はぼくらにとって最後の踏ん張りで、素晴らしくなってきているからね。すごい映画になろうとしているんだよ。

言ってみれば、ぼくはコミコンの重荷を肩から降ろさなくちゃいけなかったんだ。何故なら、リールはとてもとても細かく指示を出さなきゃいけないからね。ぼくはこれらを素晴らしいものにしたかったから、本当に今年は何も出品したくなかったんだ。分かってくれると確信しているけれど、それは素晴らしいとは言い難かったと思うんだ。

ぼくたちは急いで戻って、撮影を続けて、次の2本の映画が素晴らしくて偉大な映画になることが確信出来るための全てのことをやるつもりだよ。年が過ぎるにつれて、映画の映像をもっと見てもらえるようになると確信しているよ。だけど、今年のコミコンは何もないんだ。
良いニュースとしては、新しいビデオブログがあるってことだね。それじゃあ始めようか。ありがとう」

01'47" ガンダルフとラダガスト〜スタジオの撮影風景のフラッシュバック

ラダガスト『あんたの言うことが本当なら、世界は深刻な危機に直面していることになる…』

PJ「(雪のセットで)新しいブログは北から吹き荒れるよ!ウワァ〜!」

トーリン『バーリン!』

PJ「はい、そこでカット!」

02'08" カメラに向かって話すPJ

PJ「こんにちは!2013年の最初のブログへようこそ。これはぼくたちが行っている撮影の数週間のブロック、所謂‘追加撮影(pick-up shooting)’だよ」

運転席の男性「よぉ、戻ってきたよ!気を付けてな!」

02'11" 【テロップ】ジャレッド・コノン(ロケーション管理)

ジャレッド「ぼくたちはユニット基地をまた造り直しました。ストーン・ストリートのここに、トレーラー駐車指定区域を再建したんですよ」

02'25" 【テロップ】グレン・ショー(運送係主任)

グレン「まさしく、ぼくたちにとって、一緒にジグソーパズルを元の位置に戻すようなものさ。全てのメイクアップ、衣装、それにプロステティックス(*樹脂等を使用して補綴する特殊メイク)用の車両。クルーは到着して、誰もが再び戻れたことに満足しているんだ」

男性クルー「やぁ、こんにちわ!」

女性クルー「ハーイ!」

運転手「皆興奮して、やる気満々で、仕事を楽しみにしてるんだ。一緒になって始めよう!」

アン・マスクリー(衣装デザイナー)「撮影よ!撮影を始めるわよ!」

02'47" 運び込まれる衣装や小道具

PJ(V.O)「去年主要な撮影が終わったとき、ぼくたちは巨大な倉庫に、全てのセットと衣装を保存したんだ。キャストは皆ニュージーランドへ戻ってきた。人々と小道具、それにセットとの再会だね」

ノーム・ウイラートン「どんどん進行しているよ!湖の町を戻して、闇の森を戻して、谷間の国を再訪問するよ」

セット係の男性クルー「長い間すっかり覆われていたんだ。たった今全てのカバーを外したところさ」

03'18" 【テロップ】ノーム・ウイラートン(建築部門管理)

ノーム「かなり速く進むって分かってたさ。例によってね」

親方「実は自宅に眼鏡を置いてきてしまったので、設計図を見ることが出来なくてね。それでここに‘ディヴ・ザ・パンク’を連れてきたんだが…」
ディヴ「やあ!」
親方「ぼくの目になってくれるだろうよ」
ディヴ「実は縮尺定規の使い方を知らないんだ。興味深いことになりそうだよ」

03'34" 【テロップ】クリス・ヘナー(美術部門管理)

クリス「わたしたちの小道具とセットデッキでは、全ての小道具を見つけることが出来るの。わたしたちは倉庫を小道具でいっぱいにするわ」

03'53" 【テロップ】ラー・ヴィンセント(装飾)

ラー「ここは現場から離れた小道具保管所です。ここには谷間の国の兵器庫の中身があります。ワンシーンのために作られた特別な2000以上のアイテムが置かれています。ここは勿論キッチンですが…ぼくたちのキッチンは死体と共有です。小道具の貯蔵量について話すとき、あらゆるスペースは貴重なんです」

04'06" 【テロップ】グレン・ボズウェル(スタント・コーディネーター)

グレン「オーケー、ぼくたちは再びここにて、およそ6〜7ヶ月後に一緒に全てを見たら良い仕上がりになっているように、俳優たちが初めて大挙してやってくるのを待っているんだ(再会でハグし合うキャストたちを見て)ハグとキス、それから戦いが始まるんだ」

04’26" 【テロップ】ディーン・オゴーマン(フィーリ役)、グレアム・マクタビッシュ(ドワーリン役)、スティーヴン・ハンター(ボンブール役)

グレアム「戻ってこられて嬉しいよ、(両隣のディーンとスティーヴンを見て)この2人は別としてね」
ディーン「ありがとう」
スティーヴン「素晴らしいね、な? 素晴らしいだろ」
グレアム「つまり、戻れたのはいいんだが、厳密に言えば、この2人以外と一緒でありたかったね」
ディーン「クソッタレ(Son of a b***h)!グラウンドホッグデーさ」
スティーヴン「良いことずくめだね。つまり、楽しかったよ」
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