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『ホビット』今月の動き〜 2013年2月

2013年02月28日 23:59

2月28日(水) *『ホビット 思いがけない冒険』2月末の世界総興行収入は9億8千万ドルに。
 公開11週でアメリカ国内の興収は$301,134,992、海外興収の総額は$679,600,000。世界歴代15位まで上昇。現在公開中の中国での検討が期待されています。 【BOX OFFICE MOJO】


*『ホビット ゆきて帰りし物語』公開日を2014年12月に変更。
 『ホビット』3部作の完結編である『ゆきて帰りし物語』の公開日を、当初予定していた2014年7月18日から12月17日公開に変更すると、ニューライン・シネマ、MGM、そしてワーナー・ブラザーズの3社が共同声明。 【TORn】
2月27日(水) *『ホビット 思いがけない冒険』NMEアワード2013で最優秀映画賞に選出。
 NMEアワードとは、イギリス最大の音楽誌『NME((New Musical Express)』による英国内の大きな音楽賞の一つです。各賞の受賞者は読者の投票によって決定されます。評論家がなんと言おうと、観客には絶大な人気を誇る『ホビット』であります。 【NME】
2月26日(火) *『ホビット 思いがけない冒険』中国での出だし好調。世界総興収10億ドルも目前に。
 ワーナー・ブラザーズによれば、中国でのオープニング3日間の興行収入は、アメリカ映画としては歴代4番目を記録し、中国国内でこの調子が2週間続けば、世界総興収は10億ドルを突破するだろうとBOX OFFICE MOJOは分析しています。 【BOX OFFICE MOJO】

*ニュージーランド行政監察官による文書公開命令を受けて、ピーター・ジャクソン監督、政府官僚と交わした電子メールを公開。
 NZ行政監察官が『ホビット』を国内で制作するために政府とスタジオ間で交わされた文書を公開するよう命じた件についてPJは、「根拠のない“陰謀論”を終わらせる為に文書の公開を歓迎する」と声明。俳優組合問題で紛糾していた2010年9月から10月当時のメール及び関連テキスト(PDF)を提出しました。
その中の一つ、10月15日に経済開発省大臣ゲイリー・ブラウンリーのオフィスの上級顧問であるティム・ハードルに宛てたメールでは、PJは事の発端となったオーストラリアの労働組合MEAA(Media, Entertainment & Arts Alliance:メディア・エンターテイメント・アンド・アーツ連合)のボスであったサイモン・ウィップを、苛立ちも露に激しく非難しています。
「彼は復讐モードにあって、わたしたちの映画、わたしたちの映画産業、そしてわたしたちの国に出来るだけ多くの損害を与えることに余念がありません。非常に不愉快でナンセンスなこの件のついて、何も話すことが出来ません。わたしがやりたいことは、ただ映画を制作することだけです!この3週間というもの、映画について考えることが出来ませんでした」 【stuff.co.nz】
2月24日(日) *第85回アカデミー賞発表。『ホビット 思いがけない冒険』は無冠に。
 ノミネートされていたメイクアップ&ヘアスタイル賞は『レ・ミゼラブル』、美術(プロダクション・デザイン)賞は『リンカーン』が、そして視覚効果賞は『ライフ・オブ・パイ』が受賞となりました。 【Oscar.go.com】

*『ホビット 思いがけない冒険』中国での公開初日興行収入1,780万ドルを記録。
 24日現在の海外における興行収入の総額は6億7千9百万ドルで、アメリカ国内の売り上げを合わせると9億8千万ドルに達しようとしています。歴代興収は第15位まで上昇。 【THE WARP】 【BOX OFFICE MOJO】
2月22日(金) *中国で『ホビット 思いがけない冒険』公開開始。 【人民網日本語版】
2月20日(水) *Warner Bros. Entertainment、『ホビット 思いがけない冒険』本編の部分動画をYouTubeにUP。 【YouTube】
 3月19日にアメリカで発売予定のブルーレイ/DVDの宣伝用動画。公開されたのは、「ビルボ・バギンズ、いやがってるぞ」「ガラドリエルとサルマン」「レター・オープナー」「雷合戦」「ドワーフを料理するトロル」、「留守ですよ(袋小路屋敷に押しかけるドワーフたち)」、「旅のことを誰に話した(ワーグ来襲)」「ゴブリン町からの脱出」「あんたに喋ったんじゃない(暗闇のなぞなぞ問答)」「彼に契約書を渡せ」の10本。
2月19日(火) *第39回サターン賞に『ホビット 思いがけない冒険』最多ノミネート。
 映画、TV番組、ホームビデオ等の優秀なSF・ファンタジー・ホラー作品に贈られるサターン賞の候補作品が発表され、『ホビット 思いがけない冒険』は9部門の最多ノミネートとなりました。ノミネートされた部門は以下のとおりです。
・ファンタジー映画賞・主演男優賞(マーティン・フリーマン)・助演男優賞(イアン・マッケラン)・監督賞・美術賞(プロダクト・デザイン賞)・音楽賞・衣装デザイン賞・メイクアップ賞・特殊効果賞。 【Saturn Awards】

*第15回アメリカ衣装デザイナー組合賞発表。『ホビット 思いがけない冒険』は受賞逃す。
 ノミネートされていたファンタジー映画部門は、『白雪姫と鏡の女王』の故・石岡瑛子氏が受賞。『ホビット』は残念でしたが、遺作となった作品で石岡氏の2度目のアカデミー賞受賞を期待したいです。 【Costume Designers Guild】

*ワーナー・ホーム・ビデオより『ホビット 思いがけない冒険』日本版ブルーレイ/DVDの発売情報発表。
 発売日は2012年4月17日。初回限定にはキャラクターカードやペーパーバナーなどの封入特典が。 【『ホビット』公式HP】 【ワーナー・ホーム・ビデオ】
また、ワーナー エンターテイメント ジャパンはTwitterでの質問に答えて、年末にエクステンデッド・エディションの発売を予定しているとも語っています。 【Twitter】
2月18日(月) *グレアム・マクタビッシュ、Twitterで『ホビット』撮影再開は5月からと発言。
 「明確なのは、5月に『ホビット』の撮影が再び始まるということだ。ぼくたち全員、中つ国に戻るのを楽しみにしているんだ!」とドワーリン役の俳優、グレアム・マクタビッシュがツイート。更にファンからの、「次の映画のための撮影?それとも拡張版用?」との質問には、「全て劇場版の第2部と第3部の撮影だよ」と答えています。 【Twitter】

*『ホビット 思いがけない冒険』、米国内での興行収入が3億ドルを突破。
【Twitter】

*Weta Digital、『ホビット 思いがけない冒険』のメイキングビデオ2本を公開。
 「『ホビット』の視覚効果:裂け谷をつくる」「『ホビット』の視覚効果:ゴブリンの洞穴」の2本をYouTubeのWeta Digitalチャンネルに投稿。いずれもアカデミー賞のプロモーション用と思われます。 【YouTube】


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『ホビット』配役のまとめ 〜噂から決定まで〜 (メインキャラクター編)

2013年02月27日 06:15

『ホビット 思いがけない冒険』の日本での公開も無事終了し、『ホビット』関連のニュースも撮影の再開まではオフシーズンということで、下書きフォルダに眠っているいくつもの書きかけ記事に手を入れたり、途中になっていたデータの整理を俄然始めた管理人でございます。
そんな中から、主役のビルボ役を始め、キャスティングの噂に登場しては消えていった俳優たちと、最終的に決定となった俳優たちを一覧表に纏めてみました(2年前まで、右側のプラグインからリンクを張って閲覧出来るようにしていた表に手を入れて完成させたものです)キャラクター別で、上の行ほど新しいニュースになります。

第1部が公開されてから見直すと、フィーリとキーリ兄弟役にジョンとエドワード・グライムズ兄弟なんていうトンデモ噂が可笑しかったり、出演確実と言われていたデル・トロファミリーの役者たちが悉く姿を消したのが寂しかったりと感慨も一入です。
そして、映画化決定前から大本命として真っ先に名前が挙がったビルボ役のマーティン・フリーマンを、その後のスタジオの経済難やら監督交代劇やら、俳優組合との衝突やらのすったもんだを経ても決して諦めなかったジャクソン監督には、一ファンとして心からお礼を言いたいです。


決定した俳優 
候 補 者 名SOURCEDATE備  考
■ビルボ・バギンズ
ディーン・オゴーマン LA Times 2012/12/1 LA Timesにて、最初はビルボ役のオーディションを受けた*と発言。*EMPIREの記事では、トーリン役を受けたとも(2011/5/1 フィーリ役で公式発表)
シルヴェスター・マッコイ SCREENRUSH 2010/7/16 2010/8/28 Dunoon Observer.comにて、ビルボ役ではなく「魔法使いの一人」と発言 (2010/12/7 茶のラダガスト役で公式発表)
マシュー・グッド Telegraph 2010/2/23 オーディション参加を認める
シャイア・ラブーフ IMDb 2010/2/6 IMDbにてビルボ役を噂された俳優たちの一人と紹介されたが、噂の出所は不明
Erryn Arkin IMDb 2010/2/6 IMDbにてビルボ役を噂された俳優たちの一人と紹介されたが、噂の出所は不明
トビー・マグワイア Latino Review 2009/12/14 本人否定
トム・ホランダー TORn 2009/10/31 噂に対しての否定的記事。噂の出所は不明
ディヴィッド・テナント LA Times 2009/7/16 本人否定
ジェームズ・マカヴォイ Express.co.uk 2008/5/29 本人否定
ダニエル・ラドクリフ Express.co.uk 2008/5/29 本人否定
ジャック・ブラック Express.co.uk 2008/5/29 本人否定
マーティン・フリーマン MTV Movies Blog 2007/9/17 少なくとも2007年夏以前から、ビルボ役の最有力候補として名前が浮上。2010/9/7 公式オファーを受けたが断ったとThe Sunが報じる。2010/10/11 EMPIREの取材でこれを認める。PJ、スケジュール調整の上再オファー(Entertainment Weekly) 2010/10/21 ビルボ役公式発表(Deadline)
■灰色のガンダルフ
イアン・マッケラン Variety 2008/5/20 2011/1/10 自身の公式HPにて、ガンダルフ役で“中つ国復帰”を発表
■トーリン・オーケンシールド
ディーン・オゴーマン EMPIRE 2012/12/10 トーリン役でもオーディションを受けた*とEMPIREのインタビュー記事にて。*LA Timesの記事では、ビルボ役を受けたとも(2011/5/1 フィーリ役で公式発表)
リチャード・アーミティッジ Deadline 2010/10/21 トーリン役公式発表
サイモン・ウエスタウェイ MOVIEHOLE 2010/6/24 オーストラリアの日刊紙「The Herald Sun」による
ジャック・トンプソン AICN 2010/5/6  
ロン・パールマン IMDb 2009年末頃 2010/3/17 IMDbのCAST欄より削除されました
■フィーリ
ディーン・オゴーマン facebook 2011/5/1 フィーリ役公式発表
ロバート・カジンスキー Deadline 2010/10/21 2010/10/21 フィーリ役と公式発表されるも、2011/4/24 一身上の都合により降板(facebook)
ジョン・グライムズ The Sun 2009/12/9 オーディション参加の噂
エドワード・グライムズ The Sun 2009/12/9 オーディション参加の噂
■キーリ
エイダン・ターナー Deadline 2010/10/21 キーリ役公式発表
ジョン・グライムズ The Sun 2009/12/9 オーディション参加の噂
エドワード・グライムズ The Sun 2009/12/9 オーディション参加の噂
■バーリン
ケン・ストット TORn 2010/12/7 バーリン役公式発表
■ドワーリン
グレアム・マクタビッシュ Deadline 2010/10/21 ドワーリン役公式発表
■オイン
ジョン・カレン Deadline 2010/10/21 オイン役公式発表。
■グローイン
ピーター・ハンブルトン Deadline 2010/10/21 グローイン役公式発表
ビル・ベイリー stuff.co.nz 2010/05/21 The Dominion Postの記事による
■ドーリ
マーク・ハドロー Deadline 2010/10/21 ドーリ役公式発表
■ノーリ
ジェド・ブロフィー TORn 2010/12/7 ノーリ役公式発表
■オーリ
アダム・ブラウン TORn 2010/11/1 オーリ役公式発表
■ボンブール
スティーヴン・ハンター Deadline 2010/10/21 ボンブール役公式発表
■ボフール
ジェームズ・ネスビット People 2010/10/3 『ホビット』出演のために、家族と共にNZ移住の噂。2010/11/1 ボフール役公式発表(TORn)
■ビフール
ウィリアム・キルシャー TORn 2010/12/7 ビフール役公式発表
■ゴラム
アンディ・サーキス Variety 2008/5/20 2011/1/10 ゴラム役公式発表(TORn)
■ダイン2世(鉄の足のダイン)
ビリー・コノリー THR 2012/2/8 ダイン役公式発表
ブライアン・ブレッスド My Customer.com 2010/10/19 デル・トロ監督と交流ありの報道から、配役候補との噂へ発展。2011/1/27 IMDbキャスト欄にダイン役で登場
■スロール
ジェフリー・トーマス JP facebook 2011/3/21 スロール役発表
■スライン
マイク・ミズラーイ JP facebook 2011/3/21 スライン役発表
■ドワーフ(*どのキャラクターかは不明)
ピーター・マラン EXPRESS.co.uk 2010/10/20 ドワーフ役の最終選考に残ったとの噂
ユアン・スチュアート EXPRESS.co.uk 2010/10/20 ドワーフ役の最終選考に残ったとの噂
ゲイリー・ルイス EXPRESS.co.uk 2010/10/20 ドワーフ役の最終選考に残ったとの噂
ジリー・ジルクリスト EXPRESS.co.uk 2010/10/20 ドワーフ役の最終選考に残ったとの噂
スティーヴン・フライ TORn 2009/11/24 (2011/5/19 湖の町の統領役で公式発表)
ブライアン・コックス AICN 2009/11/13  
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『ホビット 思いがけない冒険』ブルーレイ/DVD 各国比較

2013年02月20日 05:21

2月19日、ワーナー・ホーム・ビデオより『ホビット 思いがけない冒険』の日本版ブルーレイ/DVDの販売情報が発表されました。
初回封入や期間限定についての詳細は映画『ホビット』公式HPで、音声や字幕などの詳しい情報はワーナー・ホーム・ビデオ(2Dブルーレイ3DブルーレイDVD)でそれぞれご覧ください。

ところで、最近は海外からの通信販売も容易くなり、販売日や価格、またパッケージデザインに惹かれて海外版を選ばれる方も少なくないようですね。
そこで、海外版のブルーレイ/DVD比較の一覧表を作成してみました。画像クリックで通販サイト(ほぼamazon)の商品詳細ページが開きますが、そもそもパッケージを並べて鑑賞したかっただけの物好きな管理人が作った代物ですから、どこまでお役に立つか分かりません。

価格は2月20日現在の販売予定価格です。
下に括弧で記入した日本円は、2月20日0時現在のレートで換算しています(10円単位以下四捨五入)
レートの変動はもとより、販売業者によっても価格は異なりますので、参考程度にご覧になって下さい。
言わずもがなですが、管理人はそそっかしいのがデフォなので、本気で購入をご検討されている方は、リンク先の商品情報の確認及び、他の通販サイトとの価格比較もお忘れなく。(*2月24日:スペイン版追加)(*3月2日:韓国版追加)


  ブルーレイ2D ブルーレイ3D DVD ブルーレイ2D
(特別版)
発売日 RC 価格 発売日 RC 価格 発売日 RC 価格 発売日 RC 価格



*RC…リージョン・コード
   F=リージョンフリー
4/17 F ¥3,980
(¥2,945)
4/17 F ¥5,980
(¥4,425)
4/17 2 ¥2,980
(¥2,205)
← 赤フォントは2/20現在の
   amazon.co.jp価格



 
3/19 A $35.99
(¥3,370)
3/19 A $44.95
(¥4,210)
3/19 1 $28.98
(¥2,710)
     




*スチールブック
4/8 F £18.50
(¥2,680)
4/8 F £20.50
(¥2,970)
4/8 2 £14.99
(¥2,170)
4/8 F £20.29
(¥2,940)




*スチールブック
カバー計3種類

*スチールブック&レンティキュラー(3D印刷)

*Ultimate Edition
4/17 F €29.99
(¥3,750)
4/17 F €34.99
(¥4,370)
4/17 2 €24.99
(¥3,120)
4/17 F €30.00
(¥3,760)



*スチールブック
4/19 B €17.99
(¥2,250)
4/19 B €32.99
(¥4,120)
4/19 2 €14.99
(¥1,870)
4/19 B €28.99
(¥3,620)




*特製ブックレット付
特製ブックレット付3DBD有り
4/9 B €19.72
(¥2,470)
4/9 B €23.68
(¥2,960)
4/9 2 €15.03
(¥1,880)
4/9 B €29.90
(¥3,740)



*DVDオンリー版発行なし

*特製ブックレット付
4/9 B €18.39
(¥2,270)
4/9 B €31.36
(¥3,860)
      4/9 B €21.91
(¥2,700)



 
4/17 B €23.99
(¥3,000)
4/17 B €26.99
(¥3,380)
4/17 2 €21.99
(¥2,750)
     


 
4/11 C 899руб.
(¥2,790)
4/11 C 1,079руб.
(¥3,350)
4/11 5 359руб.
(¥1,120)
     


*初回限定カバーは、角度によってビルボとゴラムが交互に現れるレンティキュラー印刷


スチールブック版もあり(拡大画像

拡大画像
*初回限定カバーは、角度によってビルボとゴラムが交互に現れるレンティキュラー印刷

拡大画像
*スチールブック
4/1 A 35,200원
(¥3,030)
4/1 A 44,000원
(¥3,790)
4/1 3 19,800원
(¥1,710)
4/1 A 39,600원
(¥3,410)

ホビット 思いがけない変更〜アゾグで読み解く3部作化の苦心〜(後編)

2013年02月17日 21:39

■アゾグの再設計

話は元に戻って2012年7月、『ホビット』を3部作で制作することを決断したピーター・ジャクソン監督とライター陣は、もう一度アゾグの扱いを検討し直します。アゾグを第1部を通しての最大の敵とし、予定されていたボルグの本格的な登場(…というのは、アザヌルビザールの合戦にチラリと映っているからです)を第2部以降に変更したのです。

PJはこの時点で、アゾグを抜本的に作り替えたのだと思われます。
まず、最初はボルグと同じようにフィジカルな特殊メイクで表現するつもりだったキャラクターを、モーションキャプチャーを使ったフルCGに変更、残忍で凶暴でありながらどこかミステリアスな風貌の巨大オークを作成しました。そして、メインキャラクターとして演技力も存在感もあるマヌー・ベネットを呼び寄せ、配役を変更した上、8月に追加撮影を行ったのです【Source:Twitter

このときジョン・ロールズは、アゾグからヤズネグという名の映画オリジナルキャラクターへと配役を変更されたのですが、ヤズネグとはどんなオークかといいますと、この方(左画像)です。アゾグに命じられて、トーリンとドワーフたちを追跡するワーグライダーのリーダーです。

そして次の画像は、先月Weta Digitalが公開したアゾグのメイキングムービーから構成したものです。
トーリンが後に「トーリン・オーケンシールド」と呼ばれることになった件の戦いの相手を、そっくりフルCGのアゾグに差し替えたことが説明されています。
差し替えられたオークは一見すると先に紹介したヤズネグのようですが、このシーンの重要性からすれば、ジョン・ロールズ扮する旧デザインのアゾグだったのではないでしょうか。任務に失敗して簡単にワーグのご飯にされてしまうオークとの戦いによって“樫の盾”の呼び名がついたなんて、ちょっとしまりませんから。
つまり、ヤズネグというキャラクターは、アゾグの再設計が決定して初めて生まれたキャラクターであり、そのデザインは没になった旧バージョンアゾグのデザインを、殆どそのまま引き継いでいると考えられるのです。


新しいアゾグに差し替えられた、アザヌルビザールでのトーリンの死闘。

■アゾグとヤズネグの関係

旧アゾグ=ヤズネグと考えるもう一つの理由は、タイアップ商品における主要オークキャラクターの扱いです。
タイアップ商品は公開とタイミングを合わせて販売するために、先行して製作が進められていることは先にお話ししましたね。下の表をご覧ください。主なタイアップ商品に登場したオークを発売日順にまとめてあります。

制作スケジュール 主なタイアップ商品に登場するオーク
2012年7月 6日:クランクアップ
30日:3部作化発表
 
2012年8月   30日:Danilo Promotions Ltd.『ホビット』カレンダー(ボルグ)
     
2012年10月   1日:Bridge Direct アクションフィギュア(ボルグ、フィンブル)
2012年11月 28日:ワールドプレミア 6日:公式ガイドブック(ボルグ)
6日:ビジュアル・コンパニオン(ボルグ)
2012年12月 14日:世界同時公開 1日:LEGO 『ホビット』シリーズ(ヤズネグ)

映画では第2部以降の登場となったボルグを始め、レゴラスやタウリエルまでが発売になりながら、実際に第1部に登場したアゾグはどこにも登場していないのです。このことを不思議に思われていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

2012年10月1日、玩具メーカーのBridge Directから、『ホビット』シリーズ第一弾が発売されます。時を同じくして、このラインナップに含まれていないものの、何故か既に完成していたヤズネグの画像がネットに流出します。【Source:Tolkien Drim
左がその画像ですが、こちらもアゾグ同様第1部に登場しながら、しかも、製品が出来上がっていながらラインナップから外されたということはどういうことでしょうか?
それは、こう考えれば辻褄が合います。

最初はアゾグとして作られた。
→3部作化決定により、アゾグのデザイン変更の知らせがスタジオから入る。
→この時点でラインナップ発表の締め切り。アゾグの発売中止。
→後日、アゾグの最終デザイン入手。同時に、既に製作されていた旧バージョンは、ヤズネグとして売り出せることが分かる。
→第2弾でアゾグ、ヤズネグ販売決定
(*実際に、2月11日にニューヨークで開催されたTOYフェア2013のBridge Directのブースに登場となりました)

更に、左のヤズネグのフィギュアをクリックして拡大画像で見てみて下さい。実際に映画に登場したヤズネグ(前述の画像参照)より顔つきも上品で精悍な上、ずっと手の込んだ禍々しいキャラクターデザインであることが分かります。
上着と“前掛け”に、いくつも人の顔が浮かんでいるのがはっきり見えますね。忌まわしい想像ですが、これ彼の犠牲となった人間やドワーフたちから剥ぎ取った顔の皮をあしらっているのではないでしょうか。もしそうだとすると、アゾグというキャラクターにぴったりのデザインだと思うのです。

映画でも、とにかくトーリンの「首」に拘るアゾグ。他の部分は要らないとゴブリンの王に言わせていましたね。トーリンの祖父スロールも首を刎ねられていました。
映画の字幕では“穢れの王アゾグ”となっていましたが、原文は“Azog the Defiler”、 Defilerは「冒涜する者」の意味です。原作でもアゾグは、斬り落としたスロールの首(の額)に自分の名を焼き付けたとあります。
犠牲者の首から剥いだ皮を身に纏うオーク、死者に対する冒涜この上ないオークがアゾグでなくてどうしましょう。


The Bridge Direct:THE HOBBIT series.
ちなみに、10月1日にボルグと同時に発売されたフィンブルという名のオーク(左画像)は、これも映画のオリジナルキャラクターなのですが、SF fan.deが7月時点ですっぱ抜いたアクション・フィギュアのパッケージ添付用のテキストによれば、フィンブルは「ワーグライダーの群れを指揮する」とあります(映画でも、ヤズネグとともにワーグに乗っています)
つまり、ヤズネグと全く同じ役割なのです。そして、このリストにはアゾグの名があってヤズネグの名はない。
このことからもヤズネグは、アゾグを最終的にメインの悪役として再設計し、それに相応しい力量の俳優を据え直したとき、先に決定していた俳優と先行してグッズを作ってしまったメーカーへの配慮で、言わば“仕方なく”生まれたキャラクターのような気がしてならないのです。
[ホビット 思いがけない変更〜アゾグで読み解く3部作化の苦心〜(後編)]の続きを読む

ホビット 思いがけない変更〜アゾグで読み解く3部作化の苦心〜(前編)

2013年02月16日 19:22

この記事を書こうと思ったきっかけは、先日来ツイッターやファンサイトのフォーラム、また個人ブログ等で、「映画のクライマックスであるアゾグ VS トーリンのシーンで、ナズグルのテーマが使われているのは何故か」という疑問に対して、トールキンクラスタによる様々な意見が交換されているのを目にしたことです。
曰く「行方不明のトーリンの父スライン2世が所持していた“7つの指輪”はトーリンの手に渡り、この時既に彼が指輪の影響下にあることを暗示している」、曰く「トーリンの手によって一度は死んだ筈の悪(アゾグ)が蘇った、この状態が生と死の狭間を彷徨うナズグルと似ているからである」等々…。

真剣な意見の遣り取りを尻目に、極めて俗物なワタクシめは、

「えっ?そこにあてる曲を作ってなかったからじゃないの?」

と即座に思ってしまった訳ですが(ホントすみません)、日々制作に関するニュースを追いかける中で気付いたあれやこれやを考え合わせますと、あながち間違ってもいないのではないかという結論に至り、情報を整理するにつけ見えてきた3部作への移行に伴うスタッフの苦心について、僭越ながら大真面目に語ってみることに致しました(今回も当然ながらネタばれあります


© MGM, New Line Cinema, WingNut Films & Warner Bros.

■2部作から3部作へ

まず、2007年12月に『ホビット』の映画化発表が行われてから、ずっと2部作で制作される予定だったこのシリーズが3部作となった経緯について振り返ってみますね。

2012年7月6日、『ホビット』の主要部分に対する266日に及んだ撮影は終了しました。
この後12日からサンディエゴで開催されたコミコン・インターナショナルの直前になって、「『ホビット』3部作に変更か?」の噂が流れ始めます。15日に行われる『ホビット』のプレゼンテーションにおいて、ピーター・ジャクソン監督が3部作になったことを電撃発表するのではないか?とも言われていました。
しかし、この噂をワーナー・ブラザーズの公報担当者は全面否定。3部作が計画されたこともなければ、コミコンでのサプライズ発表もないと発言したのです【Source:Variety
しかし、ジャクソン監督はコミコン会場でのインタビューの中で、「確かに(2本の)映画に収まらない素材についてスタジオと話しをしている。それが拡張版(EE)になるかどんな形になるかは分からないが、議論は進行中だ」と語ったのです【Source:HitFix

この結末は皆さまご承知の通りです。
7月30日、PJは彼のfacebookにて3部作決定を報告。それから4ヶ月に満たない11月28日には、『ホビット』3部作の1作目である『ホビット 思いがけない冒険』はウエリントンでワールドプレミアの運びとなったのです。

何故最初に長々と3部作化発表当時の話をしたかというと、この決定がどのくらい急に行われて、それに伴う作業がどのくらい短時間で行われたかをイメージしてもらうためです。
PJは7月30日の記事でこう書いています。

撮影したフィルムを腰を据えて見る機会を最終的に得るのは、撮影終了後しかない。
最近、ぼくとフラン(・ウォルシュ)、そしてフィル(フィリッパ・ボウエン)は、初めて最初の映画と2本目の映画の大半を見る機会に恵まれた。物語の統一性、特に登場人物たちの説得力と、その登場人物たちに命を吹き込んだキャストには本当に満足したが、その全ては、とても単純な疑問を生じさせることになった。「ぼくたちには、もっと多くの物語を伝える機会があるのではなかろうか?」

勿論、撮影中から「これはとても2本では語り切れないな」と感じていたことと思いますが、3部作化を現実的に考え始めたのは、彼の言葉を信じるならばクランクアップ後ということになります。
すぐにスタジオと交渉するも、7月中旬に行われたコミコンの最中はまだ議論半ば。これはワーナーの広報担当の発言からも、またコミコン用に準備されたビデオには、2部作を前提にエスガロスの舞台裏まで組み込まれていたことからも分かります(このビデオは9月にネット流出して話題になりました)

■2部作としての『ホビット 思いがけない冒険』

3部作化決定で、『ホビット 思いがけない冒険』が2012年7月以前の構成からどう変化したかを考える前に、そもそも2部作であったらどんな話になっていたかを推理してみたいと思います。

これについてはヒントは沢山あります。何故なら先に述べた経緯により、3部作化への決断が非常に早急かつ公開まで間がない時期に行われたために、映画公開に合わせて販売すべく先行して作成されていたタイアップ書籍やグッズに、当初は第1部に登場する予定だった場面やキャラクターが多数使用されているからです。
勿論、スタジオやピーター・ジャクソン監督だってそのつもりだったのですから、7月以前に発表されたプロダクション・ビデオや公開されたスチルにも、沢山カーロック(ラストに一行が鷲に運ばれて着いた“見張り岩”)以降のシーンを見ることが出来ます。

その中で最も分かり易い例として、下の2つのバナーをご覧ください。上がコミコン開催に合わせて7月9日にワーナー・ブラザーズが公開したバナーポスター、下がそのほぼ2ヵ月後の9月7日に改めて公開されたバナーポスターです。
画像の右側が大きく変更されていることが分かりますね。下の新しいバナーでは、最終的に公開された映画のクライマックスの舞台が右端にきています。
そう、7月時点では、“熊の人”ビヨルンと出会い、闇の森のクモたちと戦い、少なくともビルボとドワーフの仲間たちがエルフ王の地下牢から脱出するまでの物語は第1部で語られる予定になっていたのです。恐らく、クライマックスを“樽の川下り”とし(児童小説の語り口ではコミカルにも聞こえますが、実際あれやったら命がけですものね)、たての湖のほとりから、エスガロスとその背後に聳えるはなれ山を臨むエンディングだったのではないでしょうか。


↑2012年7月9日に公開されたバナー


↑2012年9月7日に公開されたバナー

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『ホビット 思いがけない冒険』劇場版ブルーレイ&DVD情報詳細

2013年02月07日 07:34

2月5日(日本時間6日)、ワーナー・ブラザーズ・ホーム・エンターテインメントより『ホビット 思いがけない冒険』劇場版ブルーレイ及びDVDの発売についての公式発表がありました。【Source:TORn
そのプレスリリースから、ブルーレイとDVDの仕様やコンテンツの詳細等まとめて紹介致します。


2013年2月5日 カリフォルニア州バーバンク --- ニューライン・シネマとメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)制作による、アカデミー賞受賞監督ピーター・ジャクソンによる映画『ホビット 思いがけない冒険』は、3月12日からデジタル・ダウンロードを、3月19日には「ブルーレイ・コンボパック」と「3Dブルーレイ・コンボパック」、それに2枚組の「DVDスペシャルエディション」を、ワーナー・ブラザーズ・ホーム・エンターテイメントから発売致します。いずれのバージョンも、ウルトラバイオレットと130分以上のボーナス・コンテンツを含みます。

J.R.R トールキンによる不朽の名作『ホビットの冒険』を映画化した3部作の第一作目である『ホビット 思いがけない冒険』-- アカデミー賞3部門にノミネートされました -- は、観客を再び中つ国の素晴らしい世界に夢中にさせる壮大な冒険物語です。3月19日のホーム・エンターテイメントからのリリースに続いて、ホリデー・シーズンに間に合うようにエクステンデッド・エディションも発売されます。

加えて、ピーター・ジャクソン監督は、第2部『ホビット スマウグの荒らし場』の映像を、3月24日午後3時(東部時間)にライブ中継で初公開します。これの編集されたバージョンは『ホビット』公式サイトに後ほどUPされます。
ライブイベントへのアクセスは、『ホビット 思いがけない冒険』の「ブルーレイ・コンボパック」か「3Dブルーレイ・コンボパック」、または「DVDスペシャルエディション」を購入することによって取得出来るウルトラバイオレットのコード所有者に限られます。
デジタル・ダウンロード版の購入者には、購入時にアクセスコードを発行致します。詳細については 公式サイトをご覧下さい。



『ホビット 思いがけない冒険』は「ブルーレイ・コンボパック」(3ディスクセット)が$35.99、「3Dブルーレイ・コンボパック」(5ディスクセット)が$44.95、そして「DVDスペシャルエディション」(2ディスクセット)が$28.98です。

「ブルーレイ・コンボパック」は高精細度(HD)フィルムの劇場版ブルーレイと、標準画質(SD)の劇場版DVDのセットです。「3Dブルーレイ・コンボパック」は3D高精細度(HD)フィルムの劇場版ブルーレイと、2D高精細度(HD)フィルムの劇場版ブルーレイ、及び標準画質(SD)の劇場版DVDのセットとなります。
「ブルーレイ・コンボパック」と「3Dブルーレイ・コンボパック」、それに「DVDスペシャルエディション」はいずれもウルトラバイオレットを含んでいますので、パソコンや互換性をもつタブレット、スマートフォンやゲーム機、インターネットに接続したTVやブルーレイ・プレイヤーなど、広範囲に渡るデバイスで、即座に標準画質の劇場版をダウンロードして鑑賞することが出来ます。

ブルーレイとDVDの内容
「ブルーレイ・コンボパック」と「3Dブルーレイ・コンボパック」、及び「DVDスペシャルエディション」は、ピーター・ジャクソン監督による『ホビット』プロダクション・ビデオの完全収録など、以下の特集を含みます。

『ホビット 思いがけない冒険』の中つ国へ
アカデミー賞受賞監督であるピーター・ジャクソンが、ロケーションの舞台裏や、ビデオ日記シリーズのスター勢揃いのキャストにまじって、2時間以上追加されたコンテンツで映画制作の最前線を案内します。
ビデオ日記のハイライトには次のようなものがあります。
  • 制作開始
  • ロケハン
  • 3D撮影
  • ポスト・プロダクション概要
  • ウエリントン ワールド・プレミア

デジタル配信
『ホビット 思いがけない冒険』は、3月12日に iTunes、Xbox、プレイステーション、アマゾン、それにVuduとCinemaNowを含むオンライン小売業者からダウンロードできます。
映画はまた、ケーブル及び衛星プロバイダー、また特定のゲーム機から、HD VOD(高精細度ビデオ・オンデマンド)または、SD VOD(標準画質ビデオ・オンデマンド)で入手出来ます。

ウルトラバイオレット
ウルトラバイオレットによって、全く新しい方法で映画やTV番組を観たり共有することが出来るようになりました。特別なマークのついたブルーレイディスクやDVD、またはデジタル・ダウンロードの購入で利用可能であり、映画とTV番組のデジタル・コレクションを作成出来ます。
Flixster(*映画ファンに特化した巨大SNS)やVUDU(*オンデマンドでHDの映画やTV番組等の配信サービスを行っている企業)のようなサービスでも即座に再生出来て、コンピューター及び互換性をもつタブレットを含む様々なデバイス、スマートフォンやゲーム機、インターネットの接続しているテレビやブルーレイ・プレーヤー等でウルトラバイオレットのコンテンツをダウンロードすることが可能です(制限や制約事項があります)
詳細はULTRAVIOLETをご覧下さい。また、VUDU互換のデバイスについてはvudu.comでご確認下さい。

基本仕様

ブルーレイ・コンボパック
  • ブルーレイ・コンボパック-----$35.99(≒3,370円)
  • 3Dブルーレイ・コンボパック---$44.95(≒4,210円)
  • DVDスペシャルエディション----$28.98(≒2,710円)
     *日本円換算は2/6現在のレートによります。
  • デジタルDL販売開始日:2013年3月12日
  • DVD/ブルーレイ発売日:2013年3月19日
  • DVD音声:英語、スペイン語(Latin Spanish)、フランス語(Parisian French)
  • BD音声:英語、スペイン語(Latin Spanish)
  • DVD字幕:英語、スペイン語(Latin Spanish)、フランス語(Parisian French)
  • BD字幕:英語、スペイン語(Latin Spanish)
  • 本編 169分
  • レーティング:PG-13
  • DLBY/SURR DLBY/DGTL [CC]

3Dブルーレイ・コンボパック

DVDスペシャルエディション
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